ユナイテッド航空機から降ろされた男性、証拠保全を裁判所に申し立て

米ユナイテッド航空機から無理やり引きずりおろされた男性の弁護人が12日、証拠保全の申し立てをイリノイ州の地裁に起こした。
ケンタッキー州在住のデイビッド・ダオ医師は9日夜、シカゴ発ケンタッキー州ルイビル行のユナイテッド航空3411便に乗っていた。満席状態のところに社員4人分の座席を確保しようとした同航空の要請を断り降機を拒否したため、同航空が呼んだ航空局係員に強引に降ろされた。抵抗して叫び、口から流血して引きずられていくダオ医師の様子を撮影した複数の乗客ビデオは、数百万回と再生され、航空会社への強い非難が巻き起こった。
ダオ医師の弁護人がイリノイ州の地裁に提出した申し立ては、ユナイテッド航空とシカゴ市に、3411便に関連するすべての防犯ビデオや操縦室の録音音声、乗客や乗務員名簿などの保全を命令するよう求めている。オヘア国際空港はシカゴ市が運営する。
ダオ医師は11日の時点でまだシカゴ市内の病院に入院中だったが、弁護士は13日にも家族が記者会見する予定だと話した。
ユナイテッド航空は、3411便の乗客に「連絡をとり」、「補償を提示している」と明らかにした。
社内向けメールでダオ医師が「騒いでけんか腰だった」などと書き、当初の謝罪も不十分だったと非難されたオスカー・ムニョス最高経営責任者(CEO)は11日にあらためて謝罪。翌日のABCニュースのインタビューに対しては、「恥ずかしい思いでいっぱいだ」と述べ、同じようなことには二度とならないと約束しつつも、引責辞任はしないと強調した。

ムニョス氏の辞任を求める2種類のオンライン署名には、それぞれ6万4000人と7万5000人が賛同している。
しかしABCニュースに辞任するか尋ねられたCEOは、「私はユナイテッドをより良くするために雇われた。これまでもみんなでそのために努力してきたし、今後もそうしていく」と述べた。
将来的に、もしオーバーブッキング状態で乗客に降機を求めても断られた場合どう対応するのかという質問には、CEOは「法執行官に強引に降ろさせることはしない」と話した。
さらに問題の直後は社内向けメールで、ダオ医師の行動が原因で航空治安当局を呼ぶしかなかったと乗務員の対応を支持していたCEOは、ABCニュースに対してはダオ医師には非はないと強調。
「旅費を払った乗客で、私たちの機内で、私たちの座席に座っていたのだし、誰だろうとあのような扱いを受けるべきではない。議論の余地はない」とCEOは言明した。
シカゴ市の航空局は12日、ダオ医師の強制降機に関わった係官3人のうち、10日の時点で停職処分にした1人に加え、もう1人も定職にしたと発表した。
米運輸省は、ユナイテッド航空がオーバーブッキング時の適正手続きに従ったかを調べている。
(英語記事 David Dao dragged off United flight files court papers)