12月16日

台風19号から2か月 いま必要なことは

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広範囲で甚大な被害をだした台風19号。あさイチではこれまで、被災地の声を中継で届けてきました。台風から2か月がたった今、被災地はどんな問題に直面しているのか、改めて被災した人たちの声に耳を傾けながら、【被災者に役立つ情報】と【被災者の支援につながる情報】を、具体的にお伝えしました。

大きな被害を受けた「釣り場」に稚魚が戻ってきた(東京都八王子市)

台風の10日後に中継した八王子市の「ます釣り場」を再度訪ねました。自然の川を仕切った場所に養殖した魚を放して、釣りやバーベキューを楽しめる場所は、増水した水で流されて、今も営業ができません。ただ、ニジマスの養殖池には、1か月遅れで稚魚を仕入れることができて、営業再開に向けた努力をしていらっしゃいました。

ディレクターが災害ボランティア活動に参加してみました

被災地でのボランティア活動は、私たちができる支援のひとつ。災害から2か月たった今も、多くの人手を必要としている地域があります。でも、行きたい気持ちはあっても体力面の不安などでボランティア参加に二の足を踏んでいる方も多いのでは?そこで、あさイチの女性ディレクターが、宮城県丸森町でボランティア活動に参加。被災した家の床下の木材に残る泥をブラシでこすって落とす作業などを行いました。力仕事のほかにも、私たちができる作業がたくさんあることがわかりました。
被災地では、特に「宮城県丸森町」「福島県いわき市」「長野市」で、今も多くのボランティアを必要としており、ほかの地域でもボランティアを求めている地域があります。
ボランティアの募集状況については・・・
<全国社会福祉協議会のホームページにある「災害ボランティア募集状況」>で確認ください。

「隠れた水気(みずけ)」に注意を!

水害にあった家でもう一度暮らすために、特に注意が必要なのが、ぬれてしまった柱や床、壁などをしっかり乾燥させることです。被災地で家屋の浸水被害を調べている長岡技術科学大学大学院の木村悟隆さんが、長野市の住宅で行っている調査に同行しました。床下浸水した家の、床下の断熱材を確認すると、かなりの量の泥水がしみ込んでいました。また、業者に依頼して乾燥・消毒を終えたという家では、乾燥が不十分ですでにカビが発生していました。乾燥には最低1か月が必要だそうです。
また、木村さんが注意を呼びかけるのが、「隠れた水気(みずけ)」です。床下浸水だったり、床上でもわずかだったりして、リフォームの予定がない方が特に要注意だそう。というのは、床下浸水でも床下の断熱材はビショビショの可能性がありますし、少しでも床上浸水すると、壁の中の断熱材が水を吸い取ってかなりぬれていてもおかしくないんだそうです。外見は大丈夫だから・・・と放っておくと、1年後には柱などが腐って建て直さなければならない事態になる可能性も。床下の断熱材がぬれていないかは、点検口・床下収納に手を入れてチェック。壁の断熱材は、業者に依頼して計測器でチェックしてください。

自宅の2階で暮らす被災者の悩みは…

台風19号の被災者には、自宅の1階が浸水して、2階で生活している人が多くいるとみられています。福島県いわき市に住むご夫婦を取材しました。浸水被害のあった自宅の2階で生活して悩んでいたのが、「寒さ」です。1階は壁と床板の工事を行っているため、冷気が2階まで届いてしまうのです。眠ていても顔が冷たくて目が覚めてしまうそうです。
もう一つの悩みは「食事」。浸水した1階にあった台所は今も使えず、冷蔵庫も失いました。パンや弁当、レトルト食品を食べるしかないことが多いそうです。

自宅で暮らすための「寒さ対策」は

自宅の2階で暮らす場合の「寒さ」対策を、長岡技術科学大学大学院の木村悟隆さんに教えてもらいました。

<階段からのぼってくる冷気を防ぐ方法>

  1. 用意するもの「突っ張り棒」「シーツ」「粘着テープ」
  2. 階段の下の方に突っ張り棒を設置。
  3. 突っ張り棒にシーツをたらしてテープで止める。

※シーツのすそを踏んで転倒する恐れがあるため、床に触れない程度の長さにしてください。

<窓からの冷気を防ぐ方法>

  1. 用意するもの「プラスチック段ボール」、「粘着テープ」
  2. プラスチック段ボールを窓の形に合わせてカットして、テープで固定。

被災者の健康に影響が大きい栄養素

被災者の栄養に関する問題を研究している、国立健康・栄養研究所の笠岡宜代さんは、被災から数か月たつと、「ビタミンB1」「ビタミンB2」「ビタミンC」不足が、被災者の健康に大きな影響を与えると指摘します。
これらが不足すると「疲れ」や「だるさ」を感じやすくなったり、「口内炎」ができやすくなったりします。片づけで疲れている被災者が、さらに疲れやだるさを感じると、風邪などの病気にかかりやすくなりますし、口内炎ができると、高齢の方は、それがきっかけで食事がとれなくなって大きく体調を崩すこともあります。
「ビタミンB1」は豚肉、「ビタミンB2」は納豆などの豆類、「ビタミンC」はみかんでとることができますので、弁当メニューで選んだり、おそうざいでもう一品加えることがおすすめです。
また笠岡さんによると、「野菜ジュース」や、コンビニなどで買える「カット野菜」も効果的だそうです。

災害廃棄物の健康への影響は?

広い範囲が浸水した台風19号では、各地で災害廃棄物の処理が課題になっています。栃木市では、住宅地内の空き地に、泥がついたままの家財道具が積み上げられていました。台風から2か月近くたった今も、片づけ作業が進むたびに新たな廃棄物が持ち込まれて、近所の住民を悩ませています。こうした災害廃棄物が健康に影響を与えるという指摘があります。カビや細菌、有害な化学物質が付着した泥が、乾燥して粉じんとなって舞い、住民が吸い込む可能性があるのです。栃木市で長年呼吸器などの診療にあたる医師は、体調を崩すぜんそくの患者が多いと話します。また、いまは健康な人も、常にマスクを着用することが大切と指摘しています。

自宅の再建にかかるお金の問題

被災した人たちが抱える大きな心配のひとつが、自宅の再建にかかるお金についてです。ある調査では、全壊や大規模半壊した家の補修費用は、平均500~600万円。この費用が被災者に重くのしかかり始めています。

高齢者向け「災害リバースモーゲージ」

高齢の方の場合、住宅ローンを組むことが難しく、仮に組めたとしても、返済期間が短いため月々の返済額が高額になってしまいます。それをなんとかしようというのが、「災害リバースモーゲージ(60歳以上向け)」です。これは、月々の返済を低額に抑えられる融資制度で、高齢の方でも借りることができます。毎月の返済は利息のみ。借りた人(夫婦の場合は夫婦両方)が亡くなったときに、土地と建物を売却して元金を返済する、という仕組みです。
詳細な条件などについては、住宅金融支援機構にお問い合わせください。
<住宅金融支援機構 災害専用ダイヤル 0120-086-353>

息長く被災地を支える・・・

日本棚田100選にも選ばれた福岡県うきは市の「つづら棚田」は、2012年7月の九州北部豪雨で大きな被害を受けましたが、ボランティアの手で復旧作業が行われて、美しい棚田の風景を取り戻しました。支援の流れは今も広がりをみせていて、家族連れなどが棚田を訪れ、学びながら支援をしています。支える人も、支えられる人も、双方が楽しめるつながりが、活動を続けるモチベーションになっているようです。

中継 台風から2か月たった被災地のいま

農地に土砂 進まない復旧

茨城県常陸太田市から中継で被災地の現状をお届けしました。台風で堤防が決壊した久慈川。川の近くの田んぼには、まだ土砂が積もったままです。復旧までは、まだまだ時間も人手も必要な状況です。

遊びに行って支援!“袋田の滝” ~ヤス君中継~

ヤスくんが、茨城県大子町を中継で訪ねました。観光業が盛んな大子町ですが、役場などの中心部を含めて大きな被害を受けました。日本三名ばくに数えられることもある“袋田の滝”も、増水によって氾濫、土産物店などに被害が出ました。住居などの復旧作業は今も続いている一方で、土産物店は紅葉のシーズンに合わせて復旧が完了していました。しかし、客足は戻ってきていません。地元のお店の方も困っている様子でした。観光客に戻ってきてほしいと望む地元の声と、イルミネーションなど冬の“袋田の滝”魅力を、ヤス君がご紹介しました。

専門家ゲスト:木村悟隆さん(長岡技術科学大学大学院准教授)、笠岡宜代さん(国立健康・栄養研究所/管理栄養士)、今田健太郎さん(弁護士)
ゲスト:八嶋智人さん、友近さん
VTRゲスト:古原靖久さん(中継)
リポーター:森田洋平アナウンサー、田村直之アナウンサー(中継)

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