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ドナルド・トランプ米大統領が1日に気候変動への国際的な取り組みを決めた2015年のパリ協定から離脱すると宣言したことについて、米石炭産業は判断を歓迎した。一方で、他の業界の企業幹部たちは、海外事業や技術革新の妨げになると決定を批判した。
トランプ氏は、「米国と市民を守るという重大な義務」を果たし、米国の労働者や企業を支援するため、米国にとってより公平な取り決めを交渉すると述べた。これに対して仏独伊は、パリ協定は再交渉しないと拒否している。
パリ協定離脱はかねてから予想されていた動きで、ニューヨークのダウ平均株価終値は前日比0.6%上昇した。
多数の大企業幹部は大統領の発表前から協定に留まるよう要請していただけに、離脱発表に反発した。
GEのジェフ・イメルト最高経営責任者(CEO)は、「気候変動は本当だ。これからは政府を頼りにせず、産業界が先頭に立たなくてはならない」とツイートした。
テスラ・モーターズのイーロン・マスクCEOは、ホワイトハウス経済諮問委員会を辞任すると発表。「気候変動は本当だ。パリ(協定)離脱はアメリカにとっても世界にとっても良くない」とツイートした。
ディズニーのロバート・アイガーCEOも経済諮問委員会を辞任した。
モルガンスタンレー、ユニリーバ―、インテル、アップルなどの大企業も、米国における新エネルギー開発などの技術革新を遅らせると、パリ協定離脱に反対していた。
エクソンモービルやシェブロンといった石油会社も、協定に残るよう要請していた。
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トランプ氏「もう笑われない」 パリ協定離脱
「アメリカ第一」
世界の温室効果ガスの約15%を排出する米国はパリ協定の下、排出量を2025年までに2005年比26~28%削減すると約束していた。
米国はさらに、途上国の気候変動対策支援のため、国連に30億ドルを提供すると約束していた。
締約国に自発的な義務履行を求める協定について、トランプ氏は米国にとって不利だと述べ、別条件で再交渉する用意があると述べた。
「我々がパリ協定に署名したとき、世界中は拍手して大騒ぎした。大喜びしていた。理由は簡単だ。この国アメリカ、我々みんなが愛する国が、実にひどく経済的に不利な状態になるからだ」
トランプ氏はさらに、「向こうはアメリカを優先しない。私は優先する。私は常に、アメリカ第一だ」と強調した。
「石炭産業の雇用保護」
米国の石炭産業にとって、トランプ氏の決定は勝利だった。
オハイオ州の石炭会社マリー・エナジーは、トランプ政権の環境政策全般における大事な要素だと評価。ロバート・マリーCEOは、「約束を果たしたことで、トランプ大統領はアメリカの揺るぎない価値を支え、石炭産業の雇用を守り、安価で安定したエネルギー供給を米国と世界全体で推進している」とコメントを発表した。
Image copyright Getty Images Image caption ウェストバージニア州の石炭工場
石炭産業のロビー団体「クリーン・コール電気のための米国連合」のポール・ベイリー会長は、オバマ前政権が定めた規制は厳しすぎたと批判した。
「パリ協定から離脱するというトランプ大統領の決定を支持する。オバマ前大統領の目標を実現しようとすれば規制拡大とエネルギー価格上昇につながり、不安定なエネルギー源への依存度が増えていたはずだ」
株価は上昇
大統領の発表を株式市場は好感し、エクソンモービルやシェブロンなどの石油関連銘柄は上昇した。
S&P500指数とハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は、最高値で引けた。両指数とも、2日発表の雇用統計への期待からすでに朝から上昇していた。
投資家はすでにパリ協定離脱の発表を予想していたため、反応は株価に織り込み済みだったとアナリストたちは指摘する。
上場している石炭企業で米最大手のピーバディー・エナジーの株価は同日、0.66%値下がりした。
同社はパリ協定離脱を歓迎するコメントを発表した。
「大幅な変更のないまま協定を順守していれば、米国経済に大打撃を与え、電気代の高騰をもたらし、エネルギー業界は多様性と安定性に欠けるエネルギー源に依存することになっていはずだ」
(英語記事 Paris climate deal: Coal industry welcomes Trumps move)
---転記終わり---
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