新幹線は「世界四バカ」 根強かった不要論
まもなく誕生50周年を迎える新幹線。日本を代表するひとつとして世界中に知られる存在になりましたが、実は当初、新幹線は「世界四バカ」になるとも言われていました。
万里の長城や戦艦「大和」と並び
2014年10月1日、あと1週間で新幹線が50周年を迎えます。
新幹線は世界で初めて200km/h以上で営業運転を行う「夢の超特急」として大きな注目を集め、東京オリンピックに合わせ1964(昭和39年)10月1日に開業。東京~新大阪間515.4kmから始まったその路線は全国各地へ広がり、6路線2387.7kmに発展しました(キロ数は実キロ)。
乗客も大変多く、国土交通省のデータによると、新幹線の2010年度における1日平均輸送人員は88万8882人。またJR東海のデータによると、東京~大阪間において新幹線は1日約32万人を運ぶことができますが、航空機は約3万人です(2011年度)。日本の経済・社会において、新幹線は必要不可欠な存在になったとしても過言ではないでしょう。
また「新幹線」は日本の高い技術力を象徴する存在として世界から認知され、2007年にはその技術を使った高速鉄道が台湾に登場。アメリカやインドなど、海外へのさらなる展開が考えられています。

しかしその建設が決定した昭和30年代当時、新幹線は「世界四バカ」になるのではないか、という意見が一定の支持を得ていました。
太平洋戦争末期、帝国海軍士官のあいだで「世界の三バカ」という言葉が流行しました。「三バカ」とはエジプトのピラミッド、中国の万里の長城、日本の戦艦「大和」のこと。それらが金と労力ばかり必要で、大きな図体をしながら役に立たないことを揶揄する言葉です。
これになぞらえ元帝国海軍士官で、鉄道ファンとして知られる作家の阿川弘之が、新幹線も同様で建設資金の回収に苦しむだけで、「世界四バカ」になるのではないかと新聞紙面で発言。これに同調する動きが生まれたのです。
ただ阿川がそう発言したことには、当時の時代背景に即した理由がありました。