4300戸で断水続く 大学入試影響も 福島・宮城震度6強

陸上自衛隊の給水支援を受ける人たち=福島県新地町福田で2021年2月14日午後1時15分、肥沼直寛撮影
13日午後11時7分ごろ、福島県や宮城県で震度6強を観測する地震があった。地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・3と推定される。総務省消防庁のまとめでは、9県で153人が負傷した。地震は、2011年3月に起きた東日本大震災(M9・0、最大震度7)の余震とみられ、気象庁は同程度の地震に1週間程度は注意が必要だとしている。 【写真特集】震度6強 各地の被害など 気象庁によると、震源は福島県沖で、震源の深さは約55キロ。震度6強を観測したのは福島県国見(くにみ)町、相馬市、新地(しんち)町と、宮城県蔵王(ざおう)町。さらに北海道から中国地方の広い範囲で震度6弱~1を観測した。この地震で宮城県石巻市の石巻港で20センチの津波が観測された。東北の太平洋沖を震源とする最大震度6強の地震は11年4月7日以来で約10年ぶり。今回の地震の後も、震度1以上の地震は32回(14日午後4時現在)起きている。 総務省消防庁によると負傷者は、福島県81人▽宮城県55人▽栃木県7人▽茨城県3人▽埼玉県、千葉県各2人▽山形県、群馬県、神奈川県各1人。うち重傷は12人で、死者や行方不明者は確認されていない。けが人には地震でベッドから転落して足を骨折したり、割れたガラスで足を切ったりしたケースがあった。建物火災は宮城、福島両県で3件。住宅被害は福島、宮城、岩手、山形の4県で162棟の一部損壊が確認された。 東北新幹線は地震で電柱が損傷し、那須塩原駅(栃木県那須塩原市)―盛岡駅(盛岡市)の上下線で運転を見合わせており、全面復旧には10日程度かかる見通し。常磐自動車道の相馬インターチェンジ(IC)―新地ICでは道路のり面が崩落し、長さ70メートルにわたって道を塞いだ。復旧作業が行われているが、常磐道はこの区間で通行止めが続いている。停電も発生し、東北、関東両地方を中心に12県の計約95万戸で一時電気がストップ。14日午前までにすべて復旧した。 内閣府によると、宮城、福島両県では一時、避難所に258人が身を寄せた。14日午後5時現在で福島県の51人に減っている。各避難所では避難者同士のスペースを確保するなど、新型コロナウイルスの感染防止にも留意していた。 福島、宮城、茨城、栃木の4県では最大約2万5000戸で断水した。このうち福島、宮城両県の約4300戸で断水が続いており、福島県の内堀雅雄知事は14日、給水支援に関して自衛隊に災害派遣を要請した。福島県は17市町について災害救助法の適用を決めた。 大学入試への影響も出ており、慶応大学(東京都)は15、16日に予定している文学部と法学部の一般選抜について、東北新幹線の運休で受験できない人を対象に3月9日に追試をする。福島学院大(福島市)は15日に予定していた福祉学部の一般入試を20日に延期すると発表した。【黒川晋史、山本佳孝】