現在治験中のアルツハイマー治療薬の登場によって歯の詰め物が過去のものになるかもしれない。
イギリス、キングスカレッジ・オブ・ロンドンの研究者は、”タイドグルーシブ(Tideglusib)”というアルツハイマー治療薬が歯髄に含まれる幹細胞を刺激し、象牙質(エナメルの下の硬組織)を再生させることを発見した。
6か月で虫歯の穴がふさがる
損傷や虫歯によって内部にある歯髄が露出した場合でも、歯には象牙質を再生させる機能が元から備わっている。
しかしそれはごく薄い層を作るだけで、虫歯による深い穴を塞ぐことまではできない。タイドグルーシブはGSK-3という象牙質の形成を防ぐ酵素の働きを停止させる。
研究者が成功したのは、小さな生分解性スポンジに薬剤を染み込ませ、これを虫歯の穴に詰めることで象牙質の成長を促すことだ。
6か月もすれば穴が塞がるという。スポンジはコラーゲン製で徐々に溶けてしまうため、詰めた場所には治った歯のみが残る。
治療から4週間後(左)と6週間後(右)の写真 Credit: King's College
既に市販されている薬を使うので実用化まで時間がかからない
筆頭著者であるポール・シャープは教授は、大きく開いた穴を自然に治療する理想的な歯科治療製品だと説明する。すでにアルツハイマー治療薬として治験が行われていることから、歯の治療薬として応用可能になるまでそれほど時間がかからないのもメリットだ。
現在、歯科医が歯に大きく開いた穴を治療する際は、カルシウムやシリコンから作られた人工セメントを詰め物として利用する。
しかしセメントは歯に残り、分解されることはない。つまりミネラルレベルにおいて歯が完全に修復することは決してないということだ。
詰め物は感染症にかかることがあり、しばしば繰り返し詰め直さなければいけない。詰め物が取れたり、感染症にかかったりした場合、歯科医はそれを取り除き、そもそもの患部以上に広まった部分を再び詰め直さなければならない。繰り返し治療を続ければ、最後は抜歯する必要すら出てくるかもしれない。
痛みも少なく自然な治療法
だが、新しい治療薬ならば、そうした詰め物に頼る必要性を減らすことができるのだ。
それだけではない。おそらく歯医者が苦手だという人も大勢いることだろう。だが象牙質の再生を促す治療薬なら今よりもずっと痛みの少ない自然な治療が可能になる。大きなストレスになりがちな歯医者通いがはるかに快適なものになるはずだ。
この治療法を施すことができるのは今のところ口の歯のみであるが、”患部全体を塞ぐ”ことができると示されている。また治験からタイドグルーシブの安全性は確認済みであり、虫歯治療への応用も速やかに行われるだろうとのことだ。
via:mashable・distractify・telegraphなど/ translated hiroching / edited by parumo
虫歯が3本放置中のパルモの場合には、この技術ができるまで待つことにしちゃうんだから早くかもーん。
---転記終わり---