JR九州:「ビートル」苦境 日韓関係悪化など三重苦

JRグループ初の国際航路として1991年に就航し、福岡-韓国・釜山を2時間55分で結んできたJR九州の「ビートル」が苦境に立っている。LCC(格安航空会社)の台頭▽日韓関係の悪化による乗客の減少▽原油高による燃料費の上昇--の三重苦が原因。運営するJR九州高速船(福岡市)は工夫をこらして苦境を切り抜けようと懸命だ。【小原擁】
九州運輸局によると、福岡市、山口県下関市、長崎県対馬市と釜山を結ぶ日韓航路の旅客実績は2012年度124万人で、前年度比32.7%増の高い伸びを示した。しかし、韓国を訪れた日本人に限ってみると、同14.9%減の28万人と過去最低レベルにある。
ビートルは「韓国への手軽な『ゲタ履き』旅行」(唐池恒二・JR九州社長)として根強い人気を誇ってきた。乗客数は初年度4万人で、ピークの04年度には35万人に。だが、韓国のLCC「エアプサン」が10年に福岡-釜山線を就航させると▽10年度25万人▽11年度24万人▽12年度20万人と減り続けた。
福岡-釜山間の運賃はビートルが通常大人片道1万3000円(各種割引きあり)。エアプサンはネット割引きなどを利用すれば片道1万円以下になる。
このあおりでJR九州高速船は11、12年度に赤字になり、13年度も赤字が見込まれる。川口史(ふみと)社長は「これまではリーマン・ショックなどの環境悪化があっても1、2年で回復してきたのに、今はそうではなく、運航開始以降、経験したことがない厳しい状況」と危機感を隠さない。
そんな中、同社は矢継ぎ早に対策を打ち出した。かつては4隻態勢で運航していたが、旅客数の減少で3隻で航路を維持できるため、1隻を国内海運会社に7億5000万円で売却することを決めた。これで年間維持費が2億円ほど節約できる。更に2月~3月20日、半年間乗り放題の平日フリーパス(5万円)や、4人で利用すれば往復運賃が半額以下になる「とも得」などお得感のあるチケットも販売した。
◇新航路開拓も検討
今後はチャーター便運航や新商品の開発にも力を注ぐ。閑散期に旅行会社のチャーターのツアー商品として福岡-島根県出雲市間の運航や、長崎県の対馬から壱岐、平戸市などへの運航も検討中だ。
ビートルの開発にも携わった川口社長は「ビートルは観光客を運ぶだけでなく、街、学校、スポーツといった日韓交流に役立ってきたという自負がある。知恵を絞って乗客を増やしていきたい」と話している。
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/business/20140329k0000e020266000c.html
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