ブドウの品種
ブドウの品種は、大きく分けてワイン向けのヨーロッパ系、耐病性の高いアメリカ系があります。この二つの交雑種が、生食用の品種として多くを占めています。
交雑種は皮ごと食べられるもの、果粒が青系(緑系)、黒系、赤系のものなど、さまざまな品種が生まれています。一年を通して、多彩な品種が市場に流通されています。
近年のブドウへの需要の高さから、果物農家にとっても、新しい品種を考案するための参考になるのではないでしょうか。私たちが良く知っている人気のブドウから、まだ知られていないブドウまで品種と産地、特徴について紹介していきます。
巨峰
高い糖度でジューシーな味わいがあり、紫黒色の大きな果粒が特徴の「ブドウの王様」です。皮には渋みがあるため、皮は取り除いて食べます。国内での人気も高いため、4~10月と長期間出回りますが、最盛期は9月頃です。主な産地は、山梨県、長野県、福岡県などです(※)。
※主な産地は、農林水産省 平成27年産特産果樹生産動態等調査より掲載しています。
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ヨーロッパ種とアメリカ種の交配種である、石原早生(いしはらわせ)とヨーロッパ種のセンテニアルを交配して巨峰が誕生しました。
豊洲市場ドットコムでは“葡萄の家系図2018”として品種の紹介や、どの品種を交配して誕生したのかについてまとめています。房落ちしやすかったり、まだ知名度は低いけれどおすすめのブドウを紹介しています。
デラウェア
小ぶりな果粒で、種なしブドウの代表的品種です。濃厚な味わいと皮の取りやすさが特徴です。ハウス産のものが4月下旬から出回り始め、6月下旬には無加温のものが出回ります。露地栽培のものは、4月下旬~9月にかけて出荷されます。主な産地は山形県、山梨県、大阪府です。
種がないため食べやすく、喉に詰まる心配も少ないので、小さなお子さんから年配の方まで老若男女とわずオススメです。
ピオーネ
(左)ピオーネ、(右)シャインマスカット
「黒い真珠」とも呼ばれる大粒ブドウで、見た目は巨峰に似ていますが巨峰よりも締まりのある実と甘みが特徴です。種無しタイプもあり、皮ごと食べられます。5~12月にかけて長期出荷されます。主な産地は岡山県、山梨県、長野県です。
皮近くに甘さがあるので、むきにくい場合は皮のままでも食べられます。
ピオーネは巨峰とカノンホールマスカットを交配させ、選別・育成しました(※)。
※農林水産省HPより
シャインマスカット
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マスカットの中では珍しい種なしで、強い甘みと芳香が特徴の品種です。近年、日本では人気がある品種で、比較的値段も高い高級ブドウです。6月から出始めますが、8月中旬が最盛期となります。主な産地は山梨県、長野県、岡山県などです。
シャインマスカットは安芸津21号と白南を交配させて誕生しました(※)。
中国でも大人気!JA全農おかやまの「晴王」は、大粒で皮もまるごと食べられます。糖度は19度です。
※農林水産省 農林水産技術会議「導入が期待される品種(果樹)について」
もともと十分な甘さがありますが、食べる前に2時間ほど冷やすと、さらに甘みが引き立ちます。ですが、冷やし過ぎると甘みが感じられなくなりますので注意してください。
アレキサンドリア
大粒の黄緑色で、独特の甘みと芳香が特徴です。「果物の女王」と呼ばれ、贈答品として定番になっているブドウです。正式名称は「マスカット・オブ・アレキサンドリア」。市場には6~11月と比較的長い期間出回ります。スーパーなどでは、7~10月によく入荷されます。主な産地は岡山県、群馬県です。
キングデラ
大阪で生まれた高級品種で、デラウェアの血を引く「レッドパール」と「アレキサンドリア」の交配種のため、紫黒色ですがマスカット系の香りが特徴です。また種なしのため、皮も取りやすく食べやすいです。
500グラムにもなる大房型を240グラム未満に仕上げ、ハウス産が高級品として春から夏にかけて出回ります。露地栽培のものは少量ですが、8月に出回ります。主な産地は山梨県、山形県、北海道などです。
ナガノパープル
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長野県オリジナルの早生品種で、2005年頃に出荷が始まったとされて爽やかな甘みが特徴の新しいブドウです。巨峰やピオーネよりもやや小ぶりで、皮ごと食べることができるので、皮に含まれるポリフェノールも摂ることができるでしょう。
主な産地は長野県・JA須高管内で、9月上旬~9月下旬に出荷されます。
ナガノパープルは、長野県果樹試験場が巨峰とリザマートという品種を交配した品種です。
甲斐路(かいじ)
酸味は少なく強い甘みがあり、大粒で橙赤色の長卵形が特徴のブドウです。甘味が強く酸味が少ないブドウで、皮ごと食べられて日持ちもするため、土産品としても人気があり親しまれています。
ブドウの中では主力商品ではないですが、赤系の大粒の大衆品種として定着しています。出回り時期は9~10月で、ピークは9月です。主な産地は山梨県、新潟県、山形県です。
キャンベルアーリー
紫黒色で厚めの皮と、さわやかな酸味が特徴の品種です。皮は紫黒色で厚く、身離れがよくむきやすいブドウです。糖度は14〜16度と、ブドウの中では高い方ではありませんが、さっぱりとした味わいです。
色が濃く酸味もあるので、ワインの原料やジュース、ジャムなどの加工品にも向いています。出回り時期は8月上旬~8月下旬です。主な産地は岩手県、青森県、宮崎県などです。
ロザリオビアンコ
大粒で緑白色の楕円形が特徴のブドウです。糖度20度以上と強い甘みがあるので、甘いブドウが好きな方にはおすすめです。主に山梨県、長野県、山形県などで栽培されていて、出荷のピークは9月頃です。
ロザリオビアンコはロザキとアレキサンドリアを交配して誕生しました。
ルビーロマン
石川県オリジナルの品種で、果粒は巨峰の約2倍のサイズになります。赤系のブドウとしては国内最大級の大きさを誇ります。市場には、8月下旬~9月中旬にかけて出回ります。主な産地は石川県です。
クイーンニーナ
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2009年登録の赤系ブドウの新品種で、大粒かつ強い甘みがあります。9月下旬~10月上旬にかけて出回ります。主な産地は長野県、鹿児島県、山形県です。
クイーンニーナは、安芸津20号と安芸クイーンを交配して誕生しました。
まだ品種登録されたばかりで知名度は低いですが、皆さんに知ってほしい糖度が高くておいしい赤いブドウです。クイーンニーナの糖度は21度です。