3.1 モデルのねらい・意義
●地域のハブとしてファブラボを活用していく
- すでに各地域に広がっているファブラボなどの施設と連携することにより、初期費用を抑えながら高いスキルを持った人材にアクセスし、教育関係者やメンターが気軽に集い、情報公開が行えるハブ的機能を地域につくることが可能になります。
- プログラミング教育や効果的な学習方法の情報交換なども積極的に行われています。
本プロジェクトも平成26 年から培ってきた関係性の上に成立している

山口市が総務省の支援を受け、平成26年「ものづくりの未来人材育成事業」として進められ、ファブラボ山口が設立されました。 このときファブラボ鎌倉は山口市より委託を受けて、地域内での合意形成や設立サポートを行ってきたという経緯があります。現在、株式会社 アワセルブスにより運営されているファブラボ山口と連携し、地域内の学校と積極的に関わり合いながらメンター募集や教育関係者との合意形成をスムーズに行うことができました。
●地域内の小中高大学の連携をさらに促進
日本国内に19箇所のファブラボが設立されており、更に大学内で地域に開いたファブラボを設立しようとする動きが盛んになってきています。民間のファブラボ、行政のファブラボ、大学内に設置しているファブラボなど、各地域で運用母体も異なりそれぞれ特色があります。その中でも教育に力を入れているファブラボと協働することで、地域の状況に応じた取り組みのシステムパターンを検証しながら、進めていくことが可能になります。
●大学生と連携しながら、社会人も巻き込み地域におけるサポートコミュニティーを形成していく
大学生は卒業するとその地域に継続して関わるのが困難です。めまぐるしく変わるテクノロジーの分野で、ICT やプログラミング技術は、常に変化していきます。そうした状況に教育現場が臨機応変に対応できるためには、地域内に継続して教員をサポートする体制が不可欠です。ファブラボと連携することで一定レベルのスキルが担保された人材を確保することができます。新しい技術にも柔軟に対応していることも特徴の一つです。
3.2 モデル実施により得られた成果
各種メディアに取り上げられることにより、地域での当プロジェクトへの理解が進み、継続的モデルのための議論や合意形成のきっかけとなる基盤構築につなげられた。
取り上げられたメディア: テレビ局 3 社 / 新聞 2 社 ※記事詳細については別紙参照
- NHK 山口放送局 日付:平成28 年11 月30 日 情報維新やまぐち 特集 / おはよう山口 12 月2 日
- 山口ケーブルビジョン : 平成28 年11 月11 日/ 11 月12 日 / 11 月25 日
- tys テレビ山口 平成28 年11 月24 日
- 朝日新聞 : 平成28 年12 月20 日
- 宇部日報 : 平成28 年10 月12 日 / 11 月25 日
3.2.1 受講した児童生徒の変化
●実施アンケート分析図 : 回答 15 名/20 名
受講した児童の好きな教科






●プログラミングで一番面白いと思ったところ、もっと続けたいと思ったところは何ですか?
- どんどんくみたてていくのがおもしろかった、おもったとおりにうごいた。
- よくきかいのことをしれておもしろかった。
- 思った以上に奥が深い
- ロボットをつくるところと、プログラミングしたこと
- おもしろい所:動かすこと 続けたい所:わからなかった所:デザイン
- 1 つのブロックだけで、1 つのロボットが動くこと
- ロボットを組み立てたり、プログラムを作ったりすること
- プログラミングは、自分で部品を組み立てることに面白さがあります
- ロボットを組み立てて初めて自分でロボットを作ったこと。→きゅうきゅう車を作成した時
- 自分の思ったとおりにロボットが動くところ
- FAB WALKER の組み立てと、そのFAB WAKER を動かすところがすごくおもしろかった
- ロボットの動きを自分できめるところ
- プログラミングが楽しかった
- ロボットをつくり、プログラミングしたこと。プログラミングでうごかすこと
3.2.2 担当したメンターの変化


●研修を受講してよかった点(今後、自分が指導するにあたって、研修で最も印象に残った点や役立つと思った知識など)について、具体的に教えてください。
- 同年代で、教員を目指す者が多く集まったこともあり、ディスカッションが非常に捗ったと思います。 ディスカッションも含めてですが、皆さんの聴く態度というものがとても素晴らしかったように感じました。私の大したことない意見でも、相槌や返答がとても快かったです。聴く態度というのはここ以外でも、取り分け今回の小学生相手だと不可欠だと思います。なので、そういった教えるところ以外での勉強もできたと思います。(大学生・女性)
- 私は「プログラミング教育」や「IT 機器の導入」など、大学やニュースなどで聞いてはいたものの、そういったものへの苦手意識の方が強く、身近なものとして取り入れようとしてこなかった。今回、このプロジェクトを紹介され、ただ考えるだけでなく、実践の機会があるというのはとても魅力的で、広く学んでみる良い機会だと考えた。もちろん、研修自体どのようなことをするのかという不安があったが、講師の方のプレゼンテーションは私が創造するよりも遥かに大きな視野をもっていて、今まで学校現場の中だけにいきがちであった考え方を変えることができた。中学生などには、単純にプログラミングを教えるだけではなく、このように日常の中でのプログラミングの在り方や背景まで教えることができると、新たな価値観が生まれるのではないかと考えた。 また、自分たちが実際に児童の立場で児童と同じものをつくってみるという試みは非常に役に立つと思う。つまりは教材研究ということだが、これを念入りに行ったことで指導の観点が見えてきた。しかし、今まで実施したことのない内容で、児童生徒の技能やつまずきを完
全に予測することは不可能に近いし、どのようなハプニングが起こるかわからない。だからこそ学校現場でも教員がみな臨機応変な対応ができるような大勢をとれることが実施には必要不可欠であると考えた。(大学院生・女性)
- 講習会に向けての指導方針や考え方などを全体で共有・再確認することができた。 プログラミングに関する知識が皆無だったため、基礎的な知識を事前にしっかりと学習することができたのは大きかった。(大学生・男性)
- 自分で一度体験することで、どこでつまずきやすいのか知ることができた。 特にプログラミングにおいてはブロックの意味を説明されても実際にやってみないと分からない部分が多く、指導する前に自分が理解するためにも研修を受講してよかったと感じた。
また組み立ての工程についても、作る作業をすることで小さなパーツ1つ1つの役割に興味をもつことができ、体験活動の有用性を実感することができた。(大学生・男性)
- 今のプログラミング教育の実態やファブラボの意味、fabble など、他の人が知らないようなところをわかりやすくまとめてくれていると感じました。新しい発見になりました。 Fabble やfacebook を使用することで、後で気になった部分を復習、確認することができるところがよかったです。 実際にプログラミング、fabwalker の組み立てをしてみて、子供たちが詰まりそうなところ、時間をかけてしまいそうなところなど、自分たちであらかじめ話し合えたのがよかったです。 資料づくりも話し合いながら、相談して作成できました。(大学生・男性)
- 様々な学部が集まり、いろいろな視点から考えられること。.楽しい。うまくいかなかったらアドバイスをくれてなんとか理解できるまでしっかりと話し合う。授業でどんな活動をすればいいのかイメージできた。プログラミング教育はいろいろな教科(図工、算数、国語、理科)とのつながりがあることを感じることができた。(大学生・男性)
- 全体の授業の(単元)の構成について、実際に1-6 回まで授業を受けることで見通しを持つことができた。また、それぞれ授業を受けることで、どこで理解しやすいか、しにくいかを実感しながら改善を行うことができた。本番前に小学生に模擬授業を行うことができたので、改善しやすかった。(大学院生・男性)
- ボランティア活動では、経験することができないことに参加できて、良かったと思いました。 私は、パソコンを使うことが昔から苦手で、今回もみんなの足を引っ張るか心配だったけれど、皆さん優しくて参加するのが楽しみでした。 この経験をこれからも生かしていきたいと思います。(大学生・女性)
- “予想される子どもの反応”を事前に考えていた点は プログラミングの授業に限らず、応用していきたいと感じた。(大学生・女性)
- いい人たちに出会えたこと。ふだん触れることのない場に参加できたこと。(大学生・女性)
- 1.様々な学部が集まり、いろいろな視点から考えられること
2.楽しい。うまくいかなかったらアドバイスをくれてなんとか理解できるまでしっかりと話し合う
3.授業でどんな活動をすればいいのかイメージできた
4.プログラミング教育はいろいろな教科(図工、算数、国語、理科)とのつながりがあることを感じることができた(大学生・男性)
- メンター全員で全工程を体験した点。難しそうなところや注意が必要なところの共有ができたのでよかった。(団体職員・女性)
3.2.3 保護者の反応(実施アンケートより)
●保護者アンケート
1. 講座へ参加した理由は何ですか?

2. 講座を通して、お子様に変化はありましたか?

※「2. 講座を通して、お子様に変化はありましたか?」のアンケート質問項目詳細
- プログラミングを通して、アプリやゲームがどうやって動くのか理解できるようになった。
- 自分なりのアイディアを取り入れたり、工夫するようになった。
- 自分なりの作品を作ることができるようになった。
- うまくプログラムが動かないときは理由を考えて、解決策を試すようになった。
- 自分から積極的に取り組むようになった。
- 友達と協力して作業を進められるようになった。
- 人前で作品や意見を発表できるようになった。
- 難しいところで諦めずに取り組めるようになった。
- 自分でもの(ゲームなどのプログラムを含む)を作りたいと思うようになった。
● 講座を通して、お子様の様子はいかがでしたか?具体的にお知らせください。
- 最初はプログラミングということさえあまり理解していなかったと思います。ゲームとは違って、落ちついて考えながら向かってい
たと思います。(6 年生・男子保護者)
- ゲームをあたえていなかったので、どうやって動く、簡単に仕組みなどに興味を持つようになったと思います。 パソコンも学校以外でさわることが少なかったので、それもどんどん体験させていくべきかと考えました。 特にプログラミングを意識して受講を希望したわけではなかったのですが、新しい興味・考え方が学べてよかったと思います。(4 年生・男子保護者)
- プログラミングという言葉も始めてで、最初はむずかしい事をさせるかと心配でしたが、帰宅してまず楽しかったとの事でした。
完全に理解は不明ですが、物作りに対して積極的にとりくんでました。(4 年生・女子保護者)
- お友達に誘われ応募しました。 私は興味がないと思っていましたが、毎回喜んで参加し楽しそうでした。 いい経験をさせて頂き、ありがとうございました。(6 年生・男子保護者)
- 毎回とても楽しそうに講座の様子を詳しく話してくれました。 講師の先生がすごく面白くて楽しかったようです。 難しい事までは理解できていないようですが、初めての体験はワクワクの連続だったみたいです。他の人の作業や作品も気になったようでした。
内容や仕組みを理解するのは高学年の方が良かったのかもしれません。その先を夢見たり他にやりたい事を考えられるのかもしれません。 たくさんの方々が進めて下さった講座、本当にありがとうございました。各学校、地域で定期的にあると楽しいと思います。(4 年生・男子保護者)
● 今回の講座で気になったこと、改善すべき点、指導者への方々等あればお知らせください。
- 講座の説明等はよくわかったけれど、参加者がふざける場面等があり、集中できなかったというようなことを話していました。(4 年
生・男子 保護者)
- 本人がアンケートを嫌がった。 終了後アンケートがある事を申し込み時にしっかり分かる様にしてほしい。 (4 年生・男子 保護者)
親としては有難い限りでした。 教室も全6 回と充実したもので子供にとっても達成感があったと思います。 生意気盛りの子供たち
を指導して下さり本当にありがとうございました。(6 年生・男子 保護者)
- 自分のつくりたいものを形にしていくこと、目の前にないものを想像する力が難しいということに気付きました。(親子で) でも講座の回数が決まっていて発表があるという終点があるので、子供の気持ちもいい緊張感の中ですすめられたと思います。 指者の方々がほめていただいたり、ヒントを声かけしていただいたことで、自信になって最後までできたと思います。すごくうれしかったようです。ありがとうございました。(5 年生・男子 保護者)
- 人数制限せず多くの子どもに参加させてほしかった。(6 年生・男子 保護者)
- 特にありません。 ニュースで見ましたが、スタッフの方々が熱心に授業のすすめ方を考えて下さっていて、子どもが楽しめたのがよくわかりました。 この様な形で定着していくとうれしいです。(4 年生・男子保護者)
● 2020 年より小学校の授業でプログラミング教育が開始される方針が出されています。小学校において、プログラミング教育が始まることへの感想、希望、不安等がありましたらお知らせください。
- 導入されるなら今回のように専門の方が授業を進めて下さる事を希望します。学校の先生の負担も増えると思いますし、専門の方が説明して下さる方が世界感が広がると思います。今回のように勉強している学生さんが講師というのもすばらしいと思います。
「?」に思うことなど、子どもに共感しやすいと思います。(4 年生・男子保護者)
- 今後も引き続いて、講座を実施して欲しいです。 今後、子どもたちの時代には、英語と同様プログラミングも必要不可欠なものとなっていくと考えます。全ての子どもに、プログラミング授業を平等に実施して欲しいと思います。今回はすばらしい講座を受ける機会を与えて頂いて、親として感謝しています。(5 年生・女子保護者)
- 時代の流れで必要とは感じていますが、今現在含めてパソコン・ゲームから離れられなくなるのが心配です。 あと、物理的なことだけではなく、人の心を感じられる世界へ導いていただけたら嬉しいです。(6 年生・男子保護者)
- キーボードの入力、扱いをさせていなかったため、接触の有無ですでに相当の差が出る。 本質的な事は論理的な思考力を養い、身につけていくことが求められるため、パソコンにこだわる必要はないように感じます。(4 年生・女子保護者)
- 今回は講座としての参加でしたが授業となったら、子供の人数に対して指導できる先生の人数が大変そうだなと思います。子供がプログラミングという新しいものにふれる機会を与えていただけたのは、とてもありがたいことだと思います。(5 年生男子保護者)
3.2.4 教員の反応(祝町小学校ロボットクラブ顧問)
●講座見学者
- 山口市教育委員会 学校教育課
- 山口市教育委員会 情報支援員
- 山口市教育委員会社会教育課
- 山口情報芸術センター[YCAM]
- やまぐち総合教育支援センター 教育支援部情報教育班
- 宇部工業高等専門学校/国際交流室長
- 宇部工業高等専門学校留学生(シンガポール)
3.2.5 協力大学、団体等の反応
●見学者
- 山口大学国際総合科学部
- 山口大学大学院教育学研究科 教育実践高度化専攻

講座見学者の様子
4.モデルの改善点
4.1 実施にあたって直面した困難
●全体の実施に関して : 参加メンターからの意見
- 学年も異なり、学生のスケジュール調整が難しかったこと
- メンターの日程調整 :大学講義時間との調整が困難
- ノウハウの引き継ぎと継続的に関われる体制
●プログラム内容に関して : 参加メンターからの意見
ものづくり
- 組立の段階は、どの児童も苦戦していたようであった。
- ねじの回し方、細かい部品の扱い
プログラミング
- プログラミングにおいて、複数の要素を含むもの(“ずっと”の中に“もし、~なら”など)になると、理解が難しい子供が一気に増えたように感じました。
- 3色のLEDライトをそれぞれ点灯・消灯させるとき、ブロックの「○○を点灯」「○○を消灯」の○○に当たる部分をA1ならA1でそろえるところでつまずいていた。
- センサーを使うための条件式で、自分で適当な値を決めないといけなかった部分でつまずいていた。
- 「走りながら光る」といった組み合わせのプログラミングが困難であったようだ。
- 複雑な動きをプログラミングして、理想とアウトプットされた動きが違った場合に改善しようとするものの、自力で違いを見つけることが難しかったように思う。
- 不等号の理解・使い方
- 光センサーと超音波センサーへの指示が競合してしまう場合があった。
パソコン・機器の操作
- そもそもパソコンの扱いに不慣れな児童が多かったため、本質である作業よりも「保存」や「打ち込み」「ドラッグ」などの作業ができず、困難であった。
4.2 実施を通して把握した反省点
●プログラム内容に関して : 参加メンターからの意見
ものづくり
- ものをじっくりみる機会、手先を使う機会をもう少し設けていくべきではないかと考えた。
- 時間が足りず、ロボットを作ることが受け身がちになってしまい、構造について触れることができずに作り上げてしまった。
講座の時数
- 60 分授業のはずが、ほとんどの回が延長し、補講の必要がでてきた。一連の授業としては、内容を詰めていく必要がある
子どもとの関わり
- 子供たち自身に考えさせようと思うあまり、自ら積極的に子供たちとかかわることができなかったことを反省しています。また、一人当たりにかける時間の配分は改めて考えておく必要があったと感じました。
プログラミングの指導
- 児童が自由にプログラミングを組み始めた際、複雑にプログラミングが組まれていて、動作とプログラミングの内容との一致確認が困難で、時間におされて十分な指導ができなかった。
環境整備
- 今回のような装飾を含めた教材の場合や、プロジェクターを活用した授業の場合、すべての学校においてその作業環境が適切とは言えないため、導入にあたっての環境の整備が必要であると感じた。
- 不等号を扱う部分が数学によっているため、子どもたちに理解させることがあまりうまくいかなった。
4.3 モデル普及に向けた改善案
●プログラム内容に関して : 参加メンターからの意見
プログラミング教育の目的を明確にする
- プログラミング教育でどんな力をつけたいのか、幼小中高とどのようにつながっていくのか、他教科や学校生活、実生活とはどのようにつながっていくのかを明確にしておく必要がある。
- プログラミング教育=C 言語の概念を消す。
メディアを通じた普及
- 今回地域のニュースに取り上げられたことや、総務省の方が視察に来てくれたのは非常に大きかったと感じます。
保護者の理解促進
- まず地域・保護者の理解を得ていくことが優先ではないかと考えるため、保護者向けのプログラム実施なども有効だと考える。
教員養成課程での教育
- 大学の授業などでプログラミングの講義があるともっと充実すると感じた。
教員養成課程での教育
- 今の段階で今回のように一早く導入して、現場の先生に知ってもらい、紹介してもらうのが確実なのかなと考えてました。
- 指導する先生に知識が必要だと感じた。
- なぜその教育が必要なのかといった背景を教員に理解してもらえるよう、「必要性」をメディア等を使ってアピールしてほしい。
実施へのハードルを下げる
- 授業を行うにあたっての準備にとてつもない時間がかかること。
- メディアを通してプログラミングの意義を語っても、認識は低いだろうと考える。具体的な案ではないが、大きな導入の流れとともにハードルの低いスモールステップでの認識の底上げが必要なのではないかと考える。
- 今回の講習会のように様々な実施例があることで、現場で指導される先生方が授業を作りやすいのではないでしょうか。
企業/自治体/団体との連携
- 企業や団体との連携
- 現在各地で行われている地域おこしと連携していくことが肝心ではないかと考える。
- 地域との連携がかかせないと思う。
人材育成のノウハウを蓄積する
- コストをかけずノウハウを引き継げるような人材育成を行うべき
- クオリティを担保できる講座のマニュアルなどを作って、引き継ぎ、または他の地域でも参考にできると良いと思います。
●プログラム内容に関して : 保護者からの意見
実施内容について
- 作ったロボットを持ち帰れなかったのは残念そうでした。持ち帰れていたらプログラミングへの興味も継続したのではないかと思います。
- パソコンなど使えるだけでなく仕組みをもっと理解していけたらよいと思います。
- 本質的な事は論理的な思考力を養い、身につけていくことが求められるため、パソコンにこだわる必要はないように感じます。
- 物理的なことだけではなく、人の心を感じられる世界へ導いていただけたら嬉しいです。
- 内容や仕組みを理解するのは高学年の方が良かったのかもしれません。その先を夢見たり他にやりたい事を考えられるのかもしれません。
授業時数
- 授業時間が少ないなか、英語も導入されるということなので、土曜日を復活して、きちんといろんな科目の時間が確保できるようにするべきだ。
- 多分、時間が短いと思います。やっと理解できたところで、講座が終わったような気がします。
- 授業日数が増えないのであればどこかにしわ寄せがいくと思う。プログラミングも他教科も理解できないままになるのでは?と心配です。
学校教員の負担
- 今回は講座としての参加でしたが、授業となったら、子供の人数に対して指導できる先生の人数が、大変そうだなと思います。
- 今回のように専門の方が授業を進めて下さる事を希望します。学校の先生の負担も増えると思いますし、専門の方が説明して下さる方が世界感が広がると思います。今回のように勉強している学生さんが講師というのもすばらしいと思います。
5.モデルの将来計画
●人材育成のスキームづくり 1 : 地域内での段階的なトレーニングプログラムの構築
A,B,C と段階的にトレーニングプログラムを構築していくことで、地域内での人材育成をスムーズに行い、各地域での連携と、共同開発プロジェクトへの移行を目指す。

図6-1 : トレーニングプログラムのエコシステムスキーム

図6-2 : 国内19 箇所の地域にファブラボが設立
デジタル工作機械を設置するファブ施設の数は100 を超える
●人材育成のスキームづくり 2:オンライン学習 x ファブラボでのトレーニング
2015 年、誰もが無料で学べるオンライン大学講座『gacco』にて、「3D プリンタとデジタルファブリケーション 」の講座の配信が開始されました。WEBでの座学に加え、実際に受講生が地域のファブラボを訪れ、ものづくりを通じて学習への理解を深めていきました。この体験学習講座は、国内8 ヶ所のファブラボとリアルタイムでつなぎ、同時進行されました。こうした方法を応用し、メンター育成のトレーニングプログラムを各地で同時に実施することで拠点形成と人材育成の基盤形成を同時に行っていくことが可能になります。

図6-3 : インターネットを介したプログラムの様子
2015 年実施時の参加ラボ
仙台(4 名) / 渋谷(6 名) / 鎌倉(4 名) / 浜松(4 名) / 北加賀屋(5 名) / 広島(4 名) 太宰府(4 名) / 佐賀(5 名)
合計:8 箇所 (36 名)
●人材育成のスキームづくり 3 : 地域で使用する教材を地域でつくる
ロボット教材のデータも誰もがダウンロードできるようにオープンにすることで、日本各地のファブラボと連携しながら開発環境を促進していきます。データは共有しながらも、各地域の素材など独自性を活かした教材開発も可能になります。もちろん、初期レベルにおいてはキットの購入も視野に入れながら、中級レベルからは地域大学、高専、高校と連携し、地域で制作する体制をつくっていきます。教材制作を入れ込んだトレーニングプログラムを実施することで、テクニカルな理解とスキルを身につけながら、人材育成のレベルにグラデーションをつけることができます。多様な現場でのニーズに応じた調整も可能にしていくことを目指します。段階的な取り組みではあるものの、目指すべき社会像やそのプロセスとして、教材づくりそのものを人材育成のツールとして置き換えることで、プログラミング教育を実施したい公立学校においてキット購入やメンテナンスなど、費用的な負担軽減と運用に対する安心感も得ることが可能になります。そして、何よりもつくった後に、明確な用途とフィールドがあることは大きな励みになります。つくって学ぶプロセスは、児童のみならず関わるあらゆる世代の大人にとっても重要な学習機会の役割を果たしていくと考えます。

図6-4 : WEB 上で共有されているデータの様子
図6-5 : 3D プリンタ出力時の様子
図6-6 : レーザーカッターの出力時の様子

図6-7 : ファブラボ鎌倉の基礎講座プログラムをいろいろな世代の人たちと受講する中学3 年生 :
一定のトレーニングを受ければ、中学生でもレーザーカッターの操作はできる。
プロジェクト継続のために不可欠な4 つの構成要素 |
人 (進行中)
人材発掘 / スキルの担保
トレーニングプログラム
 |
活動資金 (最大の課題)
・単年度における学習環境促進の効果検証は難しい
が、5 年10 年単位での長期視点が必要
・一定期間、継続的な活動を行えるための資金確保
提案
・多地域連携型トレーニングモデルの構築支援
・予算確保の新システムの構築(市民関与型)
・事業継続ためのフレームワークの構築支援 |
地域拠点(進行中)
多様な地域コミュニティー拠点
日本各地のファブラボ / ファブ施設と連携
 |
情報活用 (進行中)
インターネットのフル活用
ノウハウのオープンソース化、オンライン学習
 |
これからの展望
本事業終了後も継続して、行政、民間、そして国内外のファブラボ及び、ファブ施設などが連携し、これからの学習環境促進に関しての取り組みをどのように進めていくのか、議論を重ねる必要があります。さらに、小さなトライアルを重ねながら、発展的に継続していくためのより良い体制づくりを関係者と構築していくにはどうしたらよいか常に実践と検証が必要となります。活動資金(予算/財源の確保)をどのように確保するかは、現段階の最大の課題です。助成金のみに依存する取り組みではないにしても、独立採算に向けたプロセスの中で初期の段階では援助が必要となる状況は否めません。地域内でも無償やボランティアでは限界があります。リタイヤ世代のみならず、若い世代まできちんと関われることができ、その対価で生活ができるようなプロジェクトにしていく必要があります。活動する団体、参加する学生やサポーターに対しても、報酬のあり方、継続していくための収益性をどのように確保していくのか、課題は多いです。それでもなお、実践や連携を通じて、これからの日本における学習環境を促進していくことを目指しています。
6.参考添付資料